酒蔵で醸し人が一番気を使うこと【おいしい日本酒ができる理由】
日本酒好きな人「日本酒を造ってる酒蔵って、造り方とかいろいろと厳しいって聞いたけど、実際どうなの?昔ながらの造りを今でもしてるのかな?」
タカコ「日本酒は繊細なお酒なので、造る過程は、とても厳しいんですよ。酒蔵で働いている人たちは、食べるものから気を使ったりしています。」
お酒のバイヤー時代、 日本全国1400ある酒蔵から、60蔵の酒蔵厳選し訪問。
その中で本当に美味しかった日本酒を紹介しています。
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酒蔵へ行くときに食べてはいけないもの
- 納豆
- 柑橘系(みかんやグレープフルーツなど)
- チーズ
- ヨーグルト
納豆やチーズなどの菌は、お酒造る菌よりもはるかに強い菌なので、酒蔵にいる菌をやっつけてしまうんです。
また食べ物ではないですが、メイクや整髪料などにおいの強いものも避けた方がいいですよ!
詳しく説明していきますね。
酒蔵の蔵人は100倍菌に気を使う
杜氏さんを始め、お酒造りに関わる蔵人さんたちは、酒造りの期間中は菌の強い食材やにおいの強い食材を口にすることはありません。
衛生管理がしっかりしている蔵であればあるほど、衛生面に力を入れています。
酒蔵で知った菌のチカラ
例えば納豆を例に挙げます。
納豆の菌がどれだけ強いものかご存知でしょうか?
納豆菌は枯草菌(こそうきん)と呼ばれる菌の1種で、稲のわらや枯れた草などに、くっついていたり、土の中に生息したりしています。
この納豆菌は分裂が大変早い菌で、16時間あれば1個から40億個にまで増えるといわれ、熱湯やせっけんで洗っても効かない、芽胞(がほう)を作りだします。
納豆の糸は、洋服や皮膚にも簡単に付着してしまうため、食べたあとに手を洗ったり歯を磨いたりしたとしても、菌の付着は完全には防げません。
酒蔵の歴史 納豆工場建設を阻止
こんなエピソードもあります。
昔、灘の酒蔵の近隣に納豆工場が建設されるという話が上がりました。
その時、酒蔵は、大金を払って土地を買い取り、納豆工場が建設されるのを防いだそうです。
納豆工場に限らず、醤油工場や味噌工場も酒造りの天敵になります。
酒造りとは、蔵そのものだけではなく、周辺の環境もとても重要であると言えます。
酒蔵見学は窓越しが理想
酒蔵見学ができる酒蔵の中では、製造工程を見てもらうために、蔵の内部まで入ることが許されている酒蔵も多くあります。
これは、日本酒ファンにとっては、大変貴重な経験となると思います。
しかし衛生管理を徹底した蔵元では、洋服や皮膚に付着した菌やにおいの侵入を防ぐために、内部の見学を禁止しています。
蔵の内部をお見せしたくても、できないのです。
酒蔵で知ることができるお酒のデリケートさ
お酒はとてもデリケートです。
菌が侵入したり、匂いがついてしまえば、良いお酒を造ることはできません。
「香水とかつけてないし、いいんじゃない?」と思われるかもしれません。
しかし女性であればお化粧をしていたり、男性であれば整髪料をつけていたりしていることもあります。
そのような些細なにおいであっても、お酒は敏感に反応し、においを吸着してしまいます。
酒造りをする女性杜氏さんは、皆さんすっぴんでお酒造りをしています。
お酒にとってにおいは大敵です。
窓越しからしか見学ができないとしても、嘆かず、それはおいしいお酒造りにとって必要なことで、本気でお酒造りに取り組んでいる証なのだと理解しましょう。
蔵人でも入れない酒蔵の「醸し部屋」
蔵で仕事をしている蔵人さんの中でも、全員が酒造りの蔵に入れるわけではありません。
酒造りに関わる一部の醸し人のみが、酒造りの蔵に入ることを許されています。
彼らは、食事に気を使い、着るものに気を使い、体調に気を使いながら、日々酒造りをしているのです。
まさに人生をかけた酒造りです。
酒蔵の努力がおいしいお酒をつくる
酒蔵によって、衛星管理の方法は様々だと思います。
おいしく日本酒をいただくためには、徹底した管理のもとで造られたお酒を呑みたいものです。
酒蔵見学の際には、衛生管理をどの程度行っているか、確認してみるのもおいしいお酒に出逢うための1つの方法かもしれません。
本気で徹底的に取り組んでいる酒蔵のお酒は、間違いなくおいしいお酒を造っています。
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